訪問のマナー
1.訪問するときのマナー
ビジネスではお客様を迎えるだけでなく営業活動や商談を進める時など自分から訪問する機会が多々あります。訪問の成功のカギは徹底した準備です。まずは訪問前のマナーを確認しましょう。
(1)アポイントをいれる
■アポイントは余裕を持って1週間前を目安に
■相手が忙しい時期、時間帯を避ける
■日時、訪問者(人数)、訪問の用件、訪問先(場所)、所要時間
アポイントは質問形式で
■アポイントは基本的に相手の都合を優先させることが大切です
「いつがよろしいでしょうか」
「来週のご都合はいかがですか」
「○日ではいかがでしょうか」
「○時ではいかがでしょうか」
「どうしてもお忙しい日や時間帯があればお知らせください」
■質問内容いいまわし例
「いつがよろしいでしょうか」
「来週のご都合はいかがですか」
「他にご都合のよろしい日はございませんか」
(2)アポイントを変更するときは
訪問のお願いをしたほうからの変更は緊急事態を除いて厳禁と心得ましょう。万一、やむを得ず変更する場合には次のことに注意してすみやかに連絡を取るようにしましょう。
■変更がわかった時点ですぐに連絡
■まずはお詫び、そして理由を簡潔に
■「申し訳ございません。急な出張が入りまして、お約束の変更をお願いしたいのですが」
■アポイントの変更日時は先方の都合に合わせる。
■決定したら再度変更はきかないという心構えを持ちましょう。
■アポイントから実際の訪問日がかなり離れている場合には、前日に確認をしましょう。
(3)約束の時刻に遅れそうになったら?
アポイントをとる時点でスケジュール調整がギリギリの場合は、多少遅れるかもしれないことを事前に告げておくと良いでしょう。その上で当日、約束の時刻に遅れそうになった場合はできるだけ早めに訪問先に連絡を入れましょう。
■下手なウソはつかない
■言い訳はせず、遅れた事情と見通しを話して素直に謝る
■不測の事態で到着時間が読めない場合は、携帯電話の番号などを伝える
2.訪問先に到着したら
(1)到着は10分前に
■ゆとりをもって約束の10分前に到着を心がける
■訪問するのは5分~3分前と心得ましょう。早すぎる訪問は先方の迷惑になります。
■身だしなみのチェック
■携帯電話の電源をオフ、またはマナーモードも設定します。
原則として「建物に入る前」に脱ぐ
■冬にコートを着て訪問する場合、原則としてその建物に入る前に脱ぎます。
■帽子やマフラー、手袋もこのときに取っておきましょう。
■大きなビルで1階に受付もない場合は、エントランスホールやロビーで脱いでもかまいません。
■共同ビル内の会社を訪ねるときは、その会社のエリアに入る前に脱ぎます。
(2)受付で取り次ぎを依頼
■上司、他のお客様などと同行している場合は部下が受付に取り次ぎを依頼します。
■受付でこちらの社名や名前がわかりにくい場合は名刺を見せるか渡します。
■面会票などへ記入する場合は、先方の担当者欄には「様」をつけること。
■面会バッジを渡されたら、わかりやすい場所にきちんと付けましょう。
受付で伝えるべきこと
■自分の会社名
■自分の氏名
■訪問の目的
「ご挨拶に参りました」「打ち合わせのために参りました」
■訪問する相手
「○○部長にお目にかかりたいのです」「○○さんはいらっしゃいますか」
■面会の約束の有無
「10時にお約束をいただいております」
「15時に営業部の佐藤様とお約束があって伺いました。○○社の秋田と申します」
(3)入り口に内線電話がある場合
■相手先の部署名、電話番号を確認して内線で訪問を告げます。
■本人が出ない場合は電話に出た人に取り次ぎを依頼しましょう。
3.案内される時のマナー
(1)図々しく思われないために
■案内される時は歩幅をやや狭くする。
訪問する部屋がどこにあるかわかっていても、案内人の後ろにつくのが常識です。その際いくら歩くスピードを遅くしても、大股でゆっくり歩くと横柄な感じを与えてしまうので、人に案内される時は、いつもよりやや歩幅を狭くして案内人のペースに合わせてついて行きます。
■空間を分ける「境界線」で会釈、挨拶する。
部屋への出入りやエレベーターの乗り降りの際は、「失礼いたします」「恐れ入ります」などと、一言、挨拶を述べます。
■エレベーターや部屋の出入口などでは、案内人の指示があるまで、立って待ちます。
■案内される時に大きい声で話すのはマナーに反します。
(2)自分でドアを開けて入る場合は
■入り口でドアをノックする。
■返事があって、中からドアが開くのを待ちます。
■「どうぞ」と声がかかったら「失礼いたします」の言葉を添えて自分からドアを開けます。
■返事がない場合は、3度ほどノックを繰り返した後、静かにドアを開けて「ごめんください」「失礼いたします」と声をかけましょう。
■自分でドアを開ける時は丁寧に。
■最初の約10センチはゆっくり開けるとドア付近にいる人とぶつかってしまうようなアクシデントを避けられます。
■自分で開けたドアは必ず自分で閉めます。
■ドアクローザーがついていても、ドアのほうにきちんと身体を向けて閉めます。
■後ろ手にドアを閉めるのは大変失礼です。
■ドアを閉めるときは、閉め終わりの約10センチゆっくり音をさせずに閉めるましょう。
(3)応接室、商談室に入ったら
■席をすすめられてから着席します。
■席をすすめられない場合は、下座に席をとり荷物を置いて立って待つようにしましょう。
■コート、カバンなどはすすめられない限り自分の足元などに置きます。
■勝手にテープルの上に置いたり、コートかけにかけたりしてはいけません。
■面会者が入室する前に必要書類、資料、名剌などを準備しておきましょう。
■ドアがノックされたら、すぐに起立します。
「お忙しいところ、お時間をちょうだいしましてありがとうございます」
■初対面の場合、あいさつをして名刺交換をします。
■席をすすめられたら「失礼いたします」と言って着席します。
■下座に席をとっていて面会者から上座をすすめられたら辞退せず、すすめに従いましょう。
応接室編では
■3人掛けの長椅子と1人用の肘掛け椅子が置かれている場合、長椅子が来客用
■出入口から遠い方が来客用
■絵画や飾り物が見やすい方が来客用
■出入口から遠い方が上座
業務フロア内応接コーナーでは
■長椅子が来客用、肘掛け椅子が社員用
■出入口に近い方が来客用
応接室とは異なり、仕事の効率性を重視した席順になります。入口から近く、出入が楽なほうが来客用となります。事務所机や会社の執務スペースを背にするのが社内用です。役員室の応接コーナーも同様です。
ちなみに乗用車では
■運転席の後ろが最上位、助手席が最下位の席になります。また同行者が運転する場合は、助手席が最上位席になります。ただし、同行する人同士の関係性や訪問の用件、乗り降りのしやすさを優先すべき場合など、状況によっては最適な座るべき場所が変わってきますので、一般的なマナーを意識しつつ臨機応変に座る位置を決めましょう。