来客対応のマナー
1.来客受付の対応
来社したお客様は、最初の応対でその会社の第一印象を決定します。自社に受付があり、接客する機会が少ない場合でも、社内でお客様に偶然会うこともあります。そのために応対の基本を身につけておきましょう。応対の基本は‘‘待たせない”ことです。
(1)まず最初の応対
■入り口にお客様が入ってきたら、まず「いらっしゃいませ」の第一声をかけます。
■入り口近くの社員に限らず、来客に気づいた人がすぐに席を立ち、声をかけるようにしましょう。
■忙しいからといってお客様を放っておいてはいけません。
■自分のお客様とあらかじめわかっている場合は、率先して応対するようにしましょう。
■来客が重なった場合の基本は先着順です。
■「申し訳ございません。ただ今お伺いします」と並んでいる人にも声をかけます。
■初対面の人にも得意先と同様、丁寧な接客をしましょう。お客様の外見や態度によって必要以上に恐縮したり見下してはいけません。
(2)受付カウンターがある場合
■来訪者が近づいてきたら笑顔で会釈をします。
■カウンター前まで来たら立っておじぎをし「いらっしゃいませ」と迎えます。
■相手の社名、名前、面会担当者、約束の有無・時間を確認します。
■約束がある人には必ず「お待ちしておりました」と言いましょう(待っていなくても)。
■面会担当者に連絡「受付です。福岡部長にX社の宮崎様が14時のお約束でおみえです」
■担当者の指示で「宮崎様、お待たせいたしました。応接室にご案内いたします」など。
■そのほか「直接、5階のオフィスでお待ち申し上げているとのことです」
■「ただいま、福岡がこちらに参ります。おかけになって、少々お待ちください」など
(3)受付カウンターがない場合
■お客様に気づいたら会釈して起立をしましょう。
■席が遠い場合はお客様のところまで行きましょう。
■受付カウンターでの対応と同じように会社名、名前、面会担当者、約束の有無・時間を確認します。
■応接室や商談室、本人の席に案内する場合は「ご案内いたします」と声をかけて誘導しましょう。
■面会相手本人が来る場合は「ただ今参ります。少々お待ちください」と伝えましょう。
■面会相手に取り次ぎます。
■同じオフィス内に面会相手がいる場合でも席まで行って来客の報告をしましょう。
■階が違う、部屋が違うなどの場合は内線電話で伝えましょう。
2.ケース別対応事例
ケース1:担当者が会議や電話中
■現状を説明しましょう。「申し訳ございません。あいにく会議(電話)が長引いております。少々、お待ちください」
■長く待たせてしまうときは、応接室に案内しお茶を出しましょう。
■それでも長引くときには、時々担当者の状況をお客様に伝えます。「申し訳ございません、あと○○分ほどかかりそうだと申しております」
ケース2:自分への来客なのに急な用件が入った
■可能な限り来客を優先しましょう。
■どうしても対応できないなら、部下や同僚、接客してくれた社員に状況と待ち時間を伝えてもらいます。
約束のない訪問客
取引先の人
①社名、名前を確認し、取り次ぐべき担当者に報告する
②担当者が不在、会議中などで接客ができない場合はその旨を伝える
③来客の意向を尋ねる
初めて来社した人
①社名、名前を確認し、名刺を預かる
②「どのようなご用件でいらっしゃいますか」と訪問の目的を尋ねる
③適切と思われる部署に連絡して指示をあおぐ
飛び込みのセールス
①社名、名前、訪問目的を確認する
②担当者に連絡し指示をあおぐ
③「お名刺をお預かりできますでしょうか」と名刺を預かる
④面会を断る場合「申し訳ございません。こうした用件は断るよう、申しつかっております」などと丁寧にお断りする
3.お客様を案内する
来社したお客様を、応接室や担当部署まで案内することも受付や接客者の大切な仕事です。慣れない社内を歩くことを考慮して、お客様の歩調やペースなどを見計らいながら思いやりを持って案内しましょう。
(1)行き先を告げて案内
「お待たせしました。5階の応接室にご案内いたします」
(2)先導して社内を移動
「こちらでございます」
■案内役はお客様の2、3歩斜め前に位置して、お客様の様子をうかがいながら歩きます。
■お客様に廊下の中央を歩いてもらい、案内役は自分の後ろ姿がお客様の正面にならないように身体を斜めにして先導しましょう。
「こちらを曲がります」
■廊下を曲がる、階段を上がる、エレベーターに乗るなどの時にはひと言添えましょう
(3)部屋に到着
まずは部屋をノックして中に人がいるかを確認します。
「失礼いたします」
ドアを開けて部屋が片付いているかを確認してから
「どうぞ、お入りください」
(4)お客様を通して席をすすめる
「どうぞ、こちらにおかけになってお待ちください」
奥の上座を指し示して席をすすめる。社内の担当者がすでに部屋にいる場合には担当者が席をすすめましょう。
(5)退室、報告
「佐藤はすぐに参りますので、少々お待ちください」
「5分ほどで参りますので、お待ちください」
お客様が着席したのを確認したら「失礼いたします」と軽く会釈をして退室します。
案内したことを速やかに担当者に報告しましょう。
4.名刺交換のマナー
(1)スマートに出すための準備
■名刺入れは上着のポケットなどすぐに取り出せる場所に用意しておきます。
■名剌は差し出したときに相手が読みやすい向きになるよう名刺入れにセットしましょう。
(2)必ず起立して渡す
■テーブルがある場合には回り込み、相手の正面に立ちます。
■名刺は両手で胸の高さに持って差し出します。
(3)下の者から上の者に出す
■訪問者が先に差し出すのが原則です。
■渡す相手が複数の場合には役職が上の人から順に渡します。
■万が一、相手(格上)の方から先に渡された場合は「申し遅れました」と一言添えるようにしましょう。
■上司と一緒のときは、上司が交換してから続いて行います。
(4)社名、部署名、名前を名乗る
■「わたくし、C社営業2課の清水一郎と申します。よろしくお願いします」
■名前は必ずフルネームを言うようにしましょう。
(5)受け取るときに相手を確認
■「頂戴いたします。山本次郎さんですね。よろしくお願いします」
■必ず両手で受け取り、相手の目を見ながら、名刺の名前を復唱しましょう。
■読み方がわからない場合は「お名前はどのようにお読みすればいいのですか」と、その場で尋ねましょう。
同時に名刺を差し出した場合
■両者ともお互いの胸の位置に両手で差し出します。
■まず片手を相手の名刺に移動させ、相手も片手でこちらの名刺をつかんだら、もう片方の手を相手の名剌に移動させます。
■この時点で相手の名刺を両手で頂いている形になり、それから自分の方へ引き寄せます。
(6)テーブルに並べる
■相手が複数であれば、座席の順番に並べれば顔と名前を覚えやすくなります。
■テーブルの上が必要書類などでスペースがない場合には、軽く押しいただいて名刺入れにしまっても構いません。
名剌交換でのタブー
■汚れた名剌を渡す
■片手で受け取る
■いただいた名剌をもてあそぶ
■いただいた名剌にその場で何か書き込む
■名刺に書いても良いのは、その方のメールアドレスや個人の電話番号などだけです
■いただいた名剌を忘れて帰る