電話応対のマナー
会社電話は、どんな相手が何の要件を伝えてくるのかわからないので、慣れない人には怖いものです。しかし、自分が分からない内容の電話であっても、正しい電話応対の仕方さえ知っていれば大丈夫です。応対の仕方をしっかりと身につけて電話を率先して取り、適度な緊張感をもって正しい言葉遣いで応対しましょう。
1.電話応対の基本
(1)呼び出し音は2回以内に出る
少なくとも3コール以内に出ないと、相手は「待たされた」と感じます。2コール以内を心がけましょう。やむを得ず3コールより多く鳴ってから出る場合には「お待たせいたしました」の第一声を。
(2)受話器は利き手と反対に持つ
利き手はメモを取るためにあけておくのが、ビジネス電話のポイントです。普段から意識して習慣づけましょう。
(3)あらかじめメモの用意をする
電話をかける場合も、受ける場合もすぐにメモが取れるように。利き手にはペン、デスクにはメモ帳の用意をしておきます。
(4)自社名、自分の名前を名乗る
受ける、かける、どちらの場合も必ず名乗ります。相手がきちんと聞き取れるように、早口にならずハキハキと。
(5)相手を確認する
相手の会社名(部署名) ・名前を必ず確認しましょう。わかりにくいときには聞き返しても決して失礼ではありません。
(6)内容を復唱する
電話の内容はこまめにメモを取り、最後に復唱して確認します。
こんなビジネス電話はNG
①「保留」にしないで待たせる
電話を取り次ぐ時は、必ず保留ボタンを押すようにしましょう。電話口からは周囲の色々な情報が漏れていきます。
②「ながら」電話をする
相手に顔が見えないからといって受話器片手にメールをチェックしていたりタバコを吸ったりなどの「ながら」電話は話にも身が入りません。ビジネス電話で「ながら」は厳禁、相手にはバレてます。
③内線電話での長話
社外からの電話や社内用件を取り次ぐためにあるのが内線電話です。使用中であれば当然取り次ぎができなくなりますので「手短に」が基本です。
④電話中の人の近くで話をする
社内の人が電話で話している場合には、周囲も静かにするように配慮をしましょう。ガヤガヤうるさくては話が聞き取りにくいだけでなく、電話の相手にも聞こえてしまいます。
⑤私用で使う
私用電話はかけるのも受けるのも原則として禁止です。家族からの急ぎの用事以外は使わないようにしましょう。友人などからかかった場合は、「折り返し連絡します」と切って昼休みや就業後などにかけ直すようにしましょう。
2.電話をかける
電話をかけるということは、先方の仕事を中断させ貴重な時間を割いてもらうということです。事前によく準備をし、要点をまとめ結論から伝えましょう。また、昼休みや先方の営業時間外など、かける時間帯にも配慮します。
■かける前の準備
①電話番号・社名・役職名などを再確認
②用件についてもメモを用意
③必要な資料などを手元に揃えておく
(1)先方が出た直後には
「X社の山田と申します。いつもお世話になっております」
■まずは先方を確認する
■先方が名乗らない場合は「○○様ですか」と確認する
■相手を確認したら自分も名乗る
■「いつもお世話になっております」の一言を忘れずに
(2)取り次いでもらう
「恐れ入りますが、営業部の田中さまをお願いします」
■「恐れ入りますが...」をつける
■ダイヤルインの場合は「・・・田中さまはいらっしゃいますか」でも可
(3)相手が出たら
「いつもお世話になっております。お忙しいところ恐縮です」
■電話で仕事を中断させることに対して一言お詫びをする
■相手の都合をたずねてから本題に入る
(4)用件を話す
「早速ですが、○○の件につきまして...」
■要点を手短に。結論から先に5W3Hを確認しながら
■要点をあらかじめメモしておくと良い
(5)電話を終える
「お忙しいところ、ありがとうございました。失礼致します。」
■時間を割いていただいたことへのお礼
■受話器を静かに置く
電話をかけるということ
電話で済ませられる範囲
ビジネスの基本は相手に会うこと。とはいえ電話で用件を済ませられることも多々あるものです。相手の都合や用件の内容によって判断しましょう。
・会うためのアポイントを取る
・アポイントや仕事内容の確認、変更
・先方が多忙で会う時間がどうしても取れないとき
電話で済ませられないこと
・お願いごと、こちらからの交渉ごと
・時間のかかる複雑な用件
電話をかけないというマナー
電話は相手の時間を奪ってしまう迷惑なものでもあります。メール等で済む用件はメールで送る方が親切です。ただし、古風なビジネスマンにはメールなどより電話で直接話すべきだと言う人もいますので、相手の考え方よって臨機応変な通信手段の使い方が必要です。電話をかけないというマナーもあります。
(6)相手が不在の時
「何時ごろお戻りでしょうか」
「では改めて○○時ごろにご連絡させていただきます」
「恐縮ですが、お戻りになりましたらお電話をいただけますでしょうか」
(こちらが電話に出られる時間帯を伝えておくと親切です)
「伝言をお願いしたいのですが」
(取り次いでくれた人の名前を確認し、再度こちらの社名・名前を名乗る)
3.電話を受ける
電話をかけるということは、先方の仕事を中断させ貴重な時間を割いてもらうということです。事前によく準備をし、要点をまとめ結論から伝えましょう。また、昼休みや先方の営業時間外など、かける時間帯にも配慮します。
(1)電話に出る
「はい、○○社でございます」
■ポイント
2コール以内で電話を取る
3コールを越えたら「お待たせしました」
「もしもし」は不要
午前中なら「おはようございます」も
(2)相手を確認する
通常は相手が名乗ります
相手が名乗らない場合は「恐れ入りますが、どちらさまでしょうか?」
■ポイント
社名と相手の名前の両方を確認する
聞き取りにくい場合は「恐れ入りますが、もう一度お願いします」と確認する
相手を確認したら「いつもお世話になっております」
(お世話になっていなくても、必ず言いましょう)
(3)先方が誰かを名指した場合
「○○でございますね。少々、お待ちくださいませ」
■ポイント
取り次ぐ際には電話を必ず保留にする
取り次ぐ相手に、かけてきた人の社名、用件などを伝える
(4)自分にかかってきた場合
「私(わたくし)でございます」
「お電話を代わりました、○○でございます」
「はい」
「かしこまりました」
「さようでございますね」
■ポイント
相手の顔が見えないのでポイントごとに相づちを
用件はメモを取りながら確認
最後にメモにしたがって復唱
(5)電話を終了する
「失礼いたします」
■ポイント
受話器はかけた方から置く
4.ケース別の電話取り次ぎ事例
ケース1:同姓がいる場合
■「私どもには渡辺が5名おりますが」
■部署名を確認する「部署名はおわかりですか」
■名前を確認する「下の名前はおわかりですか」
■詳細を知らない場合は用件を尋ねる「どのようなご用件でお電話いただいたのでしょうか」
■「販売部課長の渡辺ですね。少々お待ちください」
■電話を保留にし、内線などで取り次ぐ
ケース2:担当者が電話中や不在の場合
■「ただいま他の電話に出ておりますが」
■「ただいま渡辺は席を外しておりますが」
■「社内におりますのですぐ戻ります」
■「申し訳ございません。あいにく外出しております」
■「申し訳ございません。あいにく出張しております」
■「午後3時頃には戻る予定です」
■「明日の午後3時頃には戻る予定です」
■「折り返してお電話いたしましょうか」
5.伝言メモ
指名された社員が不在などで電話に出られない場合は伝言メモを用意し、電話の内容をわかりやすく正確に伝えます。伝言メモのひな形を作ってコピーしておくと必要なことを聞き逃さずに確認できて便利です。
(1)伝言メモの内容
①電話を受けた日時
受けた時刻は13時、19時など24時間制で記入
②電話を受けた人の名前
電話の内容や相手の様子などについて後から聞かれることが多いので必ず書きましょう
③誰あての伝言か
指名された人の名前を明記します
④誰からの伝言か
電話をかけてきた相手の社名、名前を明記します
⑤伝言の内容
折り返し電話が欲しい場合は相手の電話番号も一緒に明記します
5W3Hに従って内容を簡潔に伝えましょう
(2)伝言メモの伝え方
①メモはわかりやすいところに確実におく
伝言メモを書いたらすぐに伝えたい相手のデスクのわかりやすい場所にテープなどで止めておきましょう
②必ず本人に口頭でも伝える
必ず口頭でも内容を伝えましょう
③外出先からの電話で伝言内容を伝える時
デスクの上にある伝言メモの内容はすべて伝えます
伝え終わったメモには伝えた日時、自分の名前を記入し“伝言済"と書き込んでおきましょう
ただし、本人が直接メモを見るまでは捨てないように
6.携帯電話のマナー
直接本人と連絡ができる携帯電話は、今やビジネスの必須アイテムです。個人用でも社用携帯電話でも、社会人としての携帯電話マナーを身につけておきましょう。また、個人用、社用をしっかりと区別して使いましょう。
(1)社用携帯電話のマナ一
最近では会社から携帯電話を支給されることも多くなってきました。社用の携帯電話はオフィスにある電話と同じです。そこではその会社の顔としての対応が求められます。
マナー1:勤務中は電源オンに
■電源オフ、マナーモードに設定するような場合を除いて勤務中は必ず電源をオンにしておきます
■自社オフィス内でも電源はオン
■派手な着信メロディーや大音量は禁物
■バイプレーターや光だけの設定にし、常に身につけておくようにします
■社内での携帯電話の着信は一般電話からかけ直せば、先方に親切です
マナー2:プライベート使用は厳禁
■社用であれば会社の電話同様、私用電話は厳禁
■私用でかかってきた場合はあとから個人の携帯電話などでかけ直す
■携帯メール、ウェプサイトヘの接続も個人的な使用は禁止
マナー3:電話帳メモリ登録でスムーズに対応
■取引先の人と名剌交換をしたら、すぐに電話帳登録
■着信時にどこからの電話かがすぐわかり対応がスムーズ
マナー4:電話に出るときには会社名・名前を
■「はい、○○会社、山口です」
■電話番号は通知設定に
マナー5:その他いろいろ
■訪問先では電源のオフかマナーモードにするのが基本
■かける際には携帯電話より回線の安定した一般電話を優先
■どうしても携帯電話からかける場合には、電波状態の安定した静かな場所で
■携帯電話からかける場合は静かな場所でかける相手、周囲の配慮を忘れずに
■騒々しい駅構内や電波状態が悪い場所での着信は、かけ直す
■「申し訳ございませんが、移動中ですので、あと○○分後にこちらからおかけいたします」
■「○○時には帰社予定です。そのころに改めてお電話差し上げてもよろしいでしょうか」
■重要な商談などは携帯電話で話さない
■金銭に関する内容、進行中の企画内容は携帯電話を使用しない
■会社名や取引先名など機密を要する内容は携帯電話を使用しない
(2)個人携帯電話のマナ一
本来なら個人用の携帯電話を業務で使用するのは避けたいところです。しかし、実際には社内からの緊急の用件などで使用するケースもあります。個人用携帯電話をオフィシャルに使用する場合のルール&マナーも身につけましょう。
マナー1:ビジネスの相手に個人携帯番号を知らせる場合
■自分の携帯電話
会社支給の携帯電話以外は教えないのが原則
会社によっては社内の緊急用のために個人携帯電話の番号を控える場合もある
■社内の人の携帯電話
社外の人には自社社員の携帯番号を教えてはいけません
取引先などから「急ぎなので○○さんの携帯番号を教えて」などと言われたら折り返しこちらからかけ直す旨を伝え、本人に直接電話をかけ直してもらうようにします。
マナー2:オフィス内での電源はオン?オフ?
■完全に個人用として使用している場合
基本的に勤務時間中は電源をオフにしておきます。家族や友人からの連絡は留守番電話にメッセージを残してもらい、昼休みや就業後などにチェックするようにしましょう。もちろん、勤務時間中の私用電話は禁止です。
■ビジネスでも兼用している場合
電源はオンにしておきましょう。電話番号登録の際、プライベート用とオフィシャル用のカテゴリを設定し、プライベート用だけ勤務中着信拒否モードにしておくと便利です。
マナー3:ビジネス使用なら名乗って受ける
最近では携帯電話を使った悪質な商法などもあり、個人の携帯電話であれば必ずしも名前を名乗る必要はありません。ただし、ビジネス用で使用するのであれば「はい、○○です」と名乗ったほうが良いでしょう。
電源オフ、マナーモードにすべき場所
■必ず電源オフ
医療機器、通信機器への悪影響を及ぼす危険性がある場所
病院・電車内・飛行機内・車の運転中
■マナーモード
図書館・映画館・レストラン(公共の場)
会議中・商談など他社との打ち合わせ中