挨拶と話し方のマナー

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 どんな仕事でも「ビジネスマナー」を身につけているだけで「仕事ができる人」という印象をもってもらえます。同僚や上司からも一目置かれる存在になるでしょう。世の中の仕事は千差万別でも、最低限のマナーは少なくとも日本では共通。つまり「ビジネスマナー」だけで、仕事のスキルの半分は身につけているといえます。仕事はその後に覚えても大丈夫。あなたは最初から「仕事ができる人」に成れるのです。(繰り返しになりますが、マナーは組織や業種によって違ってきます。ただし、ベースとなる「精神」は共通。基本を身につけた上で応用していきましょう。)

 最初に身につけるべき基本は、以下の3項目です。(クリックするとその項目にジャンプします)

1.まずは挨拶から

2.敬語の基本

3.話し方と聴き方

1.まずは挨拶から

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(1)挨拶のケース別事例

ケース1:出社したとき

「おはようございます」、元気よく自分から挨拶することを心がけましょう。上司・同僚・部下、掃除のおばさんも関係なく、声をかけることが大切です。ただし、従業員が何百人もいる大企業で朝出会う人全員に声をかけるのは無理な話ですね。それでも、知り合いや一度でも関わりのあった人の顔はできるだけ覚えておいて、自分から声をかけましょう。

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ケース2:離席するとき、外出する時

「行ってまいります」、「○○へ行ってまいります」と周囲の人や上司にひとこと声をかけるようにしましょう。最初は「行ってきます」よりも、謙譲語の「まいります」がおすすめ。ただし、職場の雰囲気にあった言葉を選ぶことも重要です。堅苦しい雰囲気を作りたくないケースもありますので臨機応変な言葉遣いも考えるべきですが、いずれにしろ声をかけることが大切です。

ケース3:戻った時

同様に「ただいま戻りました」、「ただいま帰りました」と周囲の人や上司にひとこと声をかける、それだけでOKです。

ケース4:戻った同僚に

「おかえりなさい」、「おつかれさまでした」と先に声をかけてもかまいません。「ご苦労様でした」はちょっと上から目線になってしまいますので気をつけましょう。

ケース5:用件を引き受けた時

「承知しました」と言えれば“できる人”の印象に。「はい」だけと比べると、頼んだ側の受ける安心感が違ってきます。「了解しました」はNGワード。「了解」上司が部下の報告を受けた時などに使う言葉です。

ケース6:注意や指摘をされた時

「申し訳ございません」「以後、気をつけます」と言います。「すみません」は軽すぎるのでNGワード。(ただし、注意が的外れな場合は「すみせん」で受け流すことも?)

ケース7:退社する時

「お先に失礼します」と声をかけてから離席します。黙って帰ってしまうのは論外です。退社する同僚に対しては「お疲れ様でした」。その日にお世話になったりした場合は、「今日はありがとうございました」、次の日に大事な仕事が待っている場合は「明日は頑張りましょう!」などのアレンジができればレベルアップです。

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(2)おじぎのマナー

3種類のおじぎ

①会釈(軽いおじき、15度ぐらいの角度)

人の前を通るとき、人とすれ違うときなど、軽いあいさつ

廊下ですれ違うとき・・・少し端によけながら、会釈する

エレベーターで乗り合わせたとき・・・会釈、空いていれば挨拶もひとこと

②一般的なおじぎ(30度ぐらいの角度)

出社・退社時や、お客様の送迎、応接室の出入り、上司に指示を受けたときなど

仕事中にあいさつされたとき・・・手を止めて立ち上がって挨拶を返す(相手が部下であっても同じ)

エレベーターで乗り合わせたとき

③最敬礼(超丁寧なおじぎ)(45~90度ぐらいの角度)

深い感謝の意や謝罪の気持ちを伝えるとき、無理なお願い、重要な顧客に紹介されたときなど

こんなおじぎはNG

①首だけ曲げてあごを前に突き出す

②ペコペコとせわしなく何度も頭を下げる

③両手をダラリと下げて、前屈のようにする

④相手の顔を見ないで、他のことをしながらのおじぎ

2.敬語の基本

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 敬語は、自分と相手との関係を表す大切な表現手段ですが、使い方を間違えると失礼になります。敬語の基本をマスターして相手を敬っているという気持ちを言葉で伝えられるようにしましょう。

(1)敬語の種類

①尊敬語

②謙譲語

③丁重語

④丁寧語

⑤美化語

①尊敬語

相手を敬って使う言葉。相手の動作や状態を表すときに使います。

■慣用表現

「部長が来る」→ 「部長がいらっしゃる」

「部長が食べる」→ 「部長が召し上がる」

■お(ご)~になる(なさる)

「お答えになる」「ご欠席なさる」

■お(ご)~くださる

「お持ちくださる」「ご説明くださる」

■れる、られる

「話される」「退出される」

②謙譲語

自分がへりくだることによって、相手を立てる言葉。自分の動作や状態を表す時に使います。

■慣用表現

「行きます」→ 「伺います」

「もらいます」→ 「いただきます」

■お(ご)~する(いたす、申しあげる)

「お預かりします」「お預かりいたします」「お預かり申しあげます」

■~いただく

「座らせていただきます」

③丁重語

自分がへりくだることによって、丁重に述べる言葉。自分の動作や状態を表す時に使います。

■慣用表現

「行きます」→ 「参ります」

「言います」→ 「申します」

④丁寧語

■物事を丁寧に言い表す言葉。

「です」「ます」「でございます」

「回覧です」、「外出します」、「資料でございます」

⑤美化語

相手に配慮して丁寧に述べる言葉。名詞に使います。

■「お」「ご」をつける

「お料理」、「ご住所」

■語彙を変える

「めし」→ 「ごはん」、「腹」→ 「おなか」

「お」と「ご」の使い方

「お」「ご」は名詞につきますが、その後に「~になる」「~する」などと続ければ、そのまま尊敬語、謙譲語の動詞としても活用できます。

■「お」は訓読み言葉、「ご」は音読み言葉につく

「お」→お帰り、お知らせ、お荷物、お名前

「ご」→ご出席、ご来店、ご好意、ご希望

■例外もある

お電話、お時間、お名前

■慣用句として一般的につけるもの

お辞儀、ごちそう、お茶、お盆、ご破算、おめがね、お荷物

■相手に対する自分の行動

お礼、ご返事、ご報告、ご連絡

■「お」「ご」をつけない言葉

こんなものにつけると下品になる!

「自分の物事」出社、洋服、退室、靴など

「外来語」タクシー、オフィス、コーヒー、マシンなど

「自然現象」地震、台風、風、雨、雪など

「公共物」都庁、市役所、学校、図書館、電車など

「動物・植物」ツバメ、ねこ、薔薇、花束など

(2)主な敬語の使い方
  尊敬語 謙譲語 丁寧語
行く 行かれる
いらっしゃる
伺う
参る
行きます
来る おいでになる
お越しになる
お見えになる
いらっしゃる
おいでになる
伺う
参る
来ます
する なさる
される
させていただく します
食べる 召しあがる
お食べになる
いただく 食べます
言う 言われる
おっしゃる
申す
申し上げる
言います
見る 見られる
ご覧になる
拝見する 見ます
聞く 聞かれる
お聞きになる
お聞きする
伺う
拝聴する
聞きます
知る ご存知 存知あげる 知っています
(3)敬語使いのポイントと使い分け

 社内では上司や先輩に対して敬語で。社外の人と話す場合は、社内の人間はたとえ上司でも身内として考えるのが常識となっています。それに応じて敬語は変化します。

■社外の人に上司や先輩のことを話すとき

上司であっても尊敬語は使わずに謙譲語を使う

「部長の島は、ただいま外出しております」

「島は、○月○日に出張から戻る予定です」

■社内の人の家族に対して話すときは、社内の人であっても尊敬語を使う

「島課長は、ただいま外出されています」

「島課長は、○時にお戻りの予定です」

(4)呼称をしっかり使い分ける!

■自分の呼び方

「わたくし」が基本。

「わたくしども」あるいは「当社」「弊社」

■相手の呼び方

上司に対しては「○○課長」と役職名で呼ぶ。

社外の人、他社の社名には「様」と丁寧に。

社外の人に対して社内の人の話をする時は呼び捨てにする。

(5)代表的なピジネス慣用敬語
普通の言葉敬語
何の用ですか どのようなご用件でしょうか
お待ちどうさまお待たせいたしました
そうですねさようでございます
ちょっと待ってください少々お待ちください
いま席にいませんただいま席をはずしております
あとで電話してください後程お電話いただけますでしょうか
どうでしょうかいかがでしょうか
もう一度来てもらえないですかもう一度お越しいただけますでしょうか
再度お越しいただけますでしょうか
(~に)言っておきます申し伝えます
いますぐ行きますただいま参ります
ただいまお伺いいたします
えっ、もう一度言ってくださいもう一度おっしゃっていただけますでしょうか
できませんいたしかねます
しりません存じません
存じ上げません
わかりませんわかりかねます
どこに勤めていますかどちらにお勤めでいらっしゃいますか
(~が)ないんですございません
(~を)してもらえませんかお願いできませんでしょうかする
悪いんですが申し訳ございませんが
恐縮ですが
せっかくきてくれたのにせっかくお越しくださいましたのに
せっかくお越しいただきましたのに
男の人、女の人男のかた、女のかた
3.話し方と聞き方

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(1)話し方

①話し方

 ■人間関係やその場に応じた話し方

 ■話の内容を整理してから

 ■結論を先に

 ■具体的な表現

 ■簡潔に

②ことば

 ■わかりやすい言葉

 ■適切な敬語

 ■流行語、専門用語などは避ける

 ■語尾まできちんと

 ■間のとり方

③態度

 ■明るく

 ■相手の自尊心を傷つけない

 ■相手の反応を見ながら

 ■適度に身振りを

(2)聞き方

①上手な聞き方

 ■積極的に聞く

 ■話は最後まで聞く

 ■先入観はもたない

 ■あいまいな点は必ず確かめる

 ■相手の意図・目的を考えながら聞く

 ■相手が話しやすい環境をつくる

②下手な聞き方

 ■相手を性急に評価してしまって判断を誤る

 ■感情におぽれて、内容の判断を誤る

 ■聞いている途中で自分を主張してしまう

(3)聞き上手になるには

①相づちをうつ

 ■目、態度、表情、言葉で

 ■内容や状況によって変える

 ■大げさにやらない

②話の内容を正確に理解する

 ■不明な点は問い返す

 ■補いや助け舟を出してみる

 ■時間をかけても理解しようとする態度

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